Aircraft Control and Simulation
を読んでのメモです。 この分野まったくの素人です。
Ch1. The Kinematics and Dynamics of Aircraft Motion
航空機の運動を表すのに必要な座標系、そこでの回転や並進と座標変換についての話。古典力学と地球の形状や物理の基礎知識。
Ch.2 Modeling the Aircraft
ベーシックな航空力学とそれに基いた航空機のモデル。モデルは線形または非線形の微分方程式あるいはその係数のセット(derivatives)。 実際は複数テーブル化される。 簡単なものだとテーブルが十数個だがF22のsimulationなんかだと数千テーブルが必要で総データポイントは2-300万項にも及ぶらしい。
Ch.3 Modeling, Design, and Simulation Tools
古典的な制御の基礎とその航空機simulationでの適用例。次章への準備
'state-spaceモデル'
'state equation'
'network transfer function'
'Bode plot'
'数値積分 Runge-Kutta'
'steady-state flight'
'feedback control'
'Nyquist plot'
'Root locus plot'
simulationでの適用例ではstate equationを近似的に2つの部分(longitudinal & lateral-directional parts)に分解(decoupling)してそれぞれのtransfer functionのpoleを見て次のような運動のモードに分けて調べている。
longitudinal modes:
- phugoid (comlex pair, relatively slow and small dumping factor)
- short period (comlex pair, relatively fast and large dumping factor)
lateral-directional modes:
- dutch roll (comlex pair, fast and small dumping)
- roll subsidence (real, fast)
- spiral (real, slow)
ところでBode plotの概形が手でかけるというのを初めて知りました。 <-あきれた奴
このvideoシリーズがものすごくわかりやすかった:
Control System Lectures - Bode Plots, Introduction
Ch.4 Aircraft Dynamics and Classical Control Design
古典的な制御でCAS(control augumented system)やSAS(stability augumented system)を構成する話。 人間工学的な問題? pilot feelやautopilot, landing時の例。
次章以降で現代的な制御とその航空機への適用の話になるらしくパラパラめくると Kalman, SVD, NNなどという単語が見えてます。 ここまでも理解できていないことが沢山あり、その証拠に演習問題とか手がでません。 しかも先は長そう。 でもとにかく面白い。
[2018-07-19追記]
Ch.5 Modern Design Techniques
航空機制御での現代制御理論入門?
LQ(Linear Quadratic)という方法でレギュレータ(Regulater)やトラッカー(Tracker)とよばれる制御の問題を解くのが主題。
state equationをPI(Performance Index)を最小にするという制約をつけて考える。 問題に応じて'良い' PIを考えることが重要らしい。 'Lagrange multiplier' 'Lyapunov equation'
open loopな可判別性、可安定性(<可観測性、可制御性)とclosed loopでの解の安定性をRiccati(リカッチみたいに読むのかな?)の方程式が結んでいる。
2x2行列でRiccatiの方程式を解く例のところでちょっとほっとしました。
[2018-07-27追記]
Ch.6 Robustness and Multivariable Frequency-Domain Techniques
古典的なSISOの場合に周波数領域でのゲインや位相特性からシステムのロバスト性を調べる方法を現代制御理論の扱うMIMOの場合に拡張する。 プロセスノイズやセンサノイズを考慮する。 数理的な道具はSVD。 最大及び最小のSingular valueが低周波及び高周波領域でのロバスト性を決める。
フルステートが観測できないシステムではobserverを考えてあたかもフルステートが観測できるかのようにする手法がある。 つまりフルステートのestimationを考える。
プロセスノイズやセンサノイズを扱う手法として確率論をベースにしたKalman filterがある。Kalman filterでobserver designを行ってフルステートのフィードバックによるレギュレータなどを考えることができる。
このとき元のシステムがロバストでもKalman filterをobserverにして構成(Linear Quadratic Gaussian LQG)されたシステムのロバスト性は必ずしも保証できないが、ゲインを調整すればロバスト性を復元することができる。 この手順をLoop Transfer Recovery(LTR)と呼ぶ。 全体としてLQG/LTR。
Ch.5に続きこの章も難しい。Kalman filterやLTRのところでどうしても判らない所が何箇所か。
Ch.7 Digital Control
主にいままで考えてきた連続なシステムを離散化する話。 'BLT' 'MPZ'
プロセッサでの計算やサンプリング、ZOH(zero order hold)による遅延の扱い。 エイリアスの話。 サチュレーションの扱いや実装時の問題について。
[2018-07-29追記]
Ch.8 Modeling and Simulation of Miniature Aerial Vehicles
小さなUAVを例にして主にプロペラやローターの力学。次章への準備にもなっている。
Ch.9 Adaptive Control With Application to Miniature Aerial Vehicles
適応制御とその航空機制御への適用での問題。 安定性の保証。 Single hidden layerのNueral Networkでの適応制御。 attitudeとguidance(position) controlのそれぞれ適応制御された2つの系をカスケードして統合したシステム。 その8章のUAVへの適用例、simulation結果。
Ch.8とCh.9の冒頭は歴史を辿った解説でもあります。 考えさせられるものがありました。